従来の「高等学校」の枠を超えて、「地域に開かれた生涯学習拠点」としての期待を担い誕生した鹿児島県初の単位制高校である。

多様な履修形態を持つ単位制のカリキュラムでは各個人の自主性が尊重されるため、人や自然との交流がより意味深いものとなる。
外気への開放やガラスによって視認性を高めた廊下・階段等の移動空間は、固定したクラスがないために行われる頻繁な教室間移動を考慮したものである。
空間の透明性は緑豊かな森(中庭)との一体感を演出し、コミュニティスペース、コミュニティブリッジを中心として、自然なコミュニケーションを誘発する舞台を形成している。そこは四季に応じた自然(光・風・森
etc)との交流の場でもある。

中庭や光庭を効果的に設けることにより、自然採光や通風を積極的に取り入れながら、教室にはライトシェルフを設けてより明るく快適な環境となるよう配慮した。
これは南国の強い日射を低減し降灰や雨を防ぐ屋根の大きな庇やルーバーとともに、空調負荷の低減と照明の省電力化を意図したものである。ルーバーは日射の調節に加えて夜間の周辺住居への明り漏れ対策ともなっている。こうした複数の機能を持つ建築的要素を合理的・有機的に組み合わせつつ、全体を適度なスケールに分節することで住宅の多い周囲の環境に馴染むよう配慮した。これらの要素が構成する規律あるリズムは、中庭に規則的に配置された緑豊かな樹木とあいまって、教育環境にふさわしい秩序の感覚を生み出している。