鉄筋コンクリート2階 延床面積…174.47
高台の閑静な住宅街に建つ住宅の老朽化に伴う建替えである。小ボリュームの集合体とすることで、コンクリートの存在感を抑制するとともに、建物内外に多様な空間の接点を生みだしている。アプローチの階段を上がり、壁に沿って折り返すと、時に応じて変化するパーゴラの影が玄関へと導く。玄関扉を抜けると、正面のガラススクリーンが地窓からの光を受け柔らかく迎えてくれる。リズミカルな光が差込むスリットから池を垣間見ながら廊下を抜けると、池やテラスと一体となったリビングへと続く。リビング吹抜け上部、南と東の壁面にはステンドグラスが嵌めこまれている。色鮮やかな光を受け、白を基調とした内部空間は時によりその表情を変えていく。吹抜けを持つ開放的なリビングと対照的にボリュームを抑えられたキッチンには、浴室との関係を考慮しながら桜島を望むように出窓が設けられている。テラスをはさんで向かい側には和室が配置され、池の飛び石を渡りアプローチすることで、日常の生活から少し距離をおいた茶室的な空間となっている。プライバシーを重視した二階の各室は、二面以上の開口により十分な採光・通風を得るよう配慮されている。中庭に面したバルコニーは、外部階段を通じて一階のテラスへとつながり、内外部を通じて建物に回遊性を与えている。テラス、池、バルコニー、屋内外の階段等により多様に関連付けられた空間が、生活上の要求を柔らかく受け容れるとともに、内外部が一体となった空間は光・風・水といった自然を通じて日々の生活に彩りを与えるであろう。